前回に続き、ジャーナリストの小森敦司氏から、ご寄稿いただきました。
すでに破綻している核燃料サイクルの全貌に迫る必読のリポートです。「上」・「下」の二回にわたり掲載します。ぜひご一読ください。
原子力市民委員会事務局
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核燃サイクル回すための「約束」、期限守れず、根拠怪しく / 使用済み核燃料の置き場が足りない!(上)
ジャーナリスト・小森敦司
原発から出る使用済み核燃料の置き場所が足りない――大手電力や経済産業省が、東京電力福島第一原発事故の後、ようやくこぎつけた原発の再稼働によって出てくる使用済み核燃料の置き場の確保に追われている。手を打たないと燃料プールが満杯になって運転できなくなるからだ。日本はこれまで使った燃料を再処理してまた使う核燃料サイクルを目指してきた。だが、中核となる青森県六ヶ所村の再処理工場の完成が遅れ、使用済み核燃料を持ち込めない。そこで新たにつくる中間貯蔵施設や乾式貯蔵施設に置こうというのだが、「そのまま最終処分地になってしまうのでは」との懸念が各地で噴出。経産省や大手電力などはこれまで「外に搬出する」「処分地にしない」と、協定や覚書、確約書といった文書で「約束」を重ね、今もそうしている。が、本当に守られるのか。原発回帰を鮮明にする第7次エネルギー基本計画の作成を横目に、2回にわたりリポートしたい。
(注)登場者の肩書は当時。出典は文末脚注に記した。
(1)再処理工場に国の「長期利用保証」
「中間貯蔵された使用済燃料は、六ヶ所再処理工場を搬出先として想定し、安全性確保を大前提に六ヶ所再処理工場の長期かつ安定利用に向けて必要な取り組みを進めていくことが適切ではないか、と考えてございます」
国のエネルギー政策の基本方針「エネルギー基本計画」の見直しにむけ、原子力の課題を話しあう経産省の「原子力小委員会」。2024年10月16日の会合で、経産省の担当課長がこの重要な方針をあきらかにした。
これまで青森県六ヶ所村で建設中の再処理工場の操業期間は40年と説明されてきた[1]。一方、青森県むつ市の中間貯蔵施設の使用期間は最長50年。かつて中間貯蔵した後の使用済み核燃料の搬出先として第二再処理工場をつくる構想があったが、2011年の東京電力福島第一原発事故の後、うやむやになっていた。このため、地元では「50年後の搬出先が不明確。永久に置かれるのではないか」といった声が出ていた。
この日の委員会に出された経産省の説明資料の一部を以下に貼り付ける。一番下の「・」の「以上を踏まえれば」以下の一文が、経産省が導きたい結論だ[2]。要は、むつ市の中間貯蔵施設で貯蔵した後の使用済み核燃料の搬出先を六ヶ所再処理工場とするために、同工場の操業期間を長期化するというのだ。筆者が思うに、経産省による再処理工場の「長期利用保証」だ。これも一種の国の「約束」だろう[3]。
経緯を調べると、ここまでの日程が綿密に組まれていたことが推察できる。
まず、青森県の宮下宗一郎知事(前のむつ市長)が2024年7月下旬、上京して斎藤健・経産相(当時)と会談。経産相から、むつ市の中間貯蔵施設からの搬出先について「六ヶ所再処理工場で処理を想定」し、課題と対応策などについて「審議会の議論を踏まえて、次期エネルギー基本計画の中で具体化をしていきたい」との言質を取った。情報公開請求で青森県庁から送ってもらった議事録にそうあった。
これを受け、8月上旬、青森県とむつ市、中間貯蔵施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵(RFS)の3者が、貯蔵期間を最長50年と明記した安全協定を締結。加えてRFSの親会社の東京電力ホールディングス、日本原子力発電を含めた5者で、事業が困難になった場合は燃料の施設外へ搬出することなどを記した覚書も交わした。
そして9月下旬、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)で保管されていた使用済み核燃料69体がむつ市の中間貯蔵施設に初めて搬入された。さらに原子力小委員会での議論も経たということで、次期エネルギー基本計画には、中間貯蔵後の使用済み核燃料の搬出先として六ヶ所再処理工場を想定、長期利用に取り組むといった趣旨の文言が入ることになるのだろう。
しかし、いくつもの疑問を抱く。まず、再処理工場は、例えば50年間、安全に稼働するだろうか。再処理工場は当初、1997年の完成予定だったがトラブルが続発、そのたびに延期を繰り返してきた。さらに原子力規制委員会の審査に時間を要し、日本原燃は2024年8月、完成時期を約2年半延期して2026年度末にすると発表した。延期は27回目だ。そうした「経歴」を持つ工場なのだ。
経産省の担当課に安全性などについて問い合わせると、以下の回答をくれた。
「六ヶ所再処理工場については、運転期間に関する法令上の上限は無いと承知しております。また、六ヶ所再処理工場を含め、原子力施設の安全性確保については、運転期間にかかわらず、原子炉等規制法に基づき、原子力規制委員会の監視のもと、事業者が必要な対応を行っていくものと承知しています」
この文言を読んで、経産省は六ヶ所再処理工場の操業期間について、従来の説明より長くするとしながら、それに伴う安全の確保は、原子力規制委員会と事業者に「丸投げ」して、自らの責任を回避しているように筆者には思えた。家電量販店が顧客サービスのために「保証期間を1年延長します」というのとは話の次元が違うと思うのだが。
(2)40年後、MOX需要はあるのか
使用済み核燃料の再処理で取り出したプルトニウムとウランを混ぜたMOX燃料を原発で使うのがプルサーマル発電だ。例えば40年後、六ヶ所再処理工場の稼働が順調にいき、中間貯蔵施設から使用済み核燃料を再処理工場に運び出せたとしよう[4]。
40年後のその時。中間貯蔵施設を運営する「リサイクル燃料貯蔵」の親会社の東京電力ホールディングスと日本原子力発電は、MOX燃料をどれだけ必要とするだろうか。
電気事業連合会は2020年12月、「2030年度までに、少なくとも12基の原子炉でプルサーマルの実施を目指す」と表明した。従来「16~18基」という目標を掲げていたが、実質的に下方修正したのだった。そして「リサイクル燃料貯蔵」の親会社の東京電力はいまも、プルサーマル発電をする具体的な原発の名を示すことができていない。
筆者は東京電力の広報担当者に40~50年後のMOX燃料の利用の見込みを尋ねた。答えはたった一言、「現時点で未定」だった。意地悪な質問であろう。原発事故により東京電力は福島第一、第二原発を廃炉にすることがすでに決まっている。残る東京電力の既存の原発は、柏崎刈羽原発となる。だが、東京電力にとって柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働が今の最優先の課題だ。よりハードルが高いプルサーマル発電を言い出せないのだろう。
もう一つの親会社の日本原子力発電といえば先ごろ、大きなニュースがあった。原子力規制委員会が2024年11月、プルサーマル発電を想定する敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について新規制基準に適合しないとして、再稼働に向けた申請を不許可とした。東海第二原発(茨城県東海村)も、避難計画整備などの難しい課題がある。
いずれにしろ40年後、東京電力と日本原電の既存の原子炉は古すぎて、MOX燃料を使うということを想像できない。東京電力は原発事故で中断している青森県東通村での原発建設を進めるという策が描けるかもしれないが、世の中はそれを認めるだろうか。
プルサーマル発電はこの2社だけの問題ではない。日本は青森県六ヶ所村の再処理工場とMOX燃料工場が動いてないので海外企業に再処理と加工を委託していた。その価格が高いとの指摘がある。例えば、朝日新聞は2023年7月、財務省の貿易統計をもとに関西電力が2022年にフランスから輸入したMOX燃料の輸入価格がウラン燃料の10倍近い価格だったと報じている(その時の朝日新聞社のXへの投稿を下に貼り付ける)。
国内での再処理でMOX燃料をつくることができたら、価格は安くなるだろうか。当初、7600億円だった六ヶ所再処理工場の建設費はいまや3兆円以上に膨らみ、廃止措置などを含めた総事業費は15兆1千億円と見込まれている。MOX燃料工場の建設費などのMOX加工事業費も2兆4千億円を超す[5]。たぶん、日本製のMOX燃料はかなり高額だ。太陽光や風力といった再生可能エネルギーにコスト的に対抗できるわけがない。
プルトニウムの需給バランスの問題も早くから指摘された。核兵器の原料にもなるため、日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を掲げる。この点に絡んで、電気事業連合会はこう説明する。
「(再処理工場のフル稼働の時に)回収される約6.6トンのプルトニウムを消費するのに必要なプルサーマル基数が12基であることから、2030年度までに12基を目指すこととした」。フル生産からの逆算で消費する炉の数を決めているから問題ない、というわけだ。
しかし、六ヶ所再処理工場の貯蔵プールは、これまでに全国の原発から運び込まれた使用済み核燃料でほぼ満杯だ。工場が稼働すれば、大手電力は「ウチの原発にある使用済み核燃料を早く処理して」と求めるだろう。一方でMOX燃料を使うプルサーマル発電が可能な原発は現在4基。12基到達への歩みはのろい。消費できなければ生産できないはずだ。操業率を落とせば採算が悪化する。
こうした難題を抱えているのに経産省は、よくぞ再処理工場の「長期利用保証」をした、と思う。やはり、柏崎刈羽原発の再稼働を狙ってのことなのだろうか。
(3)貯蔵割合「50%以下に」で合意したら
原発事故後、実質国有化された東京電力は、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を収益改善の柱と位置付けている。経産省も再稼働について新潟県民の理解を求める説明会を始めたところだ。しかし、すでに同原発の使用済み核燃料で貯蔵プールの貯蔵割合が6号機で約92%、7号機で約97%。再稼働しても、数年で運転できなくなる。同原発全体でみても貯蔵割合は約81%だ(いずれも2024年3月末時点)。
それで柏崎刈羽原発では使用済み核燃料の貯蔵対策を進めている。使用済み核燃料を貯蔵率の高い燃料プールから低い燃料プールに移す(下に東京電力の「号機間輸送」についてのXへの投稿を貼り付ける)ほか、青森県むつ市の中間貯蔵施設に運び出そうとしていた。こうした作業と時を同じくして、経産省から再処理工場の「長期利用保証」が出されたことになる。
背景には、柏崎刈羽原発が立地する新潟県柏崎市の桜井雅浩市長の要望もあった。
桜井市長は2019年11月、同原発の再稼働に絡んで、「1基以上の廃炉計画をより一層明確化する」「6、7号機の使用済核燃料プールの保管量を再稼働までにおおむね80%以下とする」など7項目を東電に求めた。
このカギカッコの前者は福島原発事故で明らかになった原子炉の集中立地リスクを避けたいというものだ。後者は、使用済み核燃料は再処理のため外に運びだすという説明だったのに30年前のものが燃料プールにあるのはおかしい、という主張だ。
この二つに関し、筆者はその理屈については、なるほどと理解できた。ただ、後者の「おおむね80%以下に」はどのようにしてできた数字なのか疑問を持った。なぜ、50%以下や70%以下ではないのか。柏崎市役所に尋ねると、桜井市長が柏崎市議会で理由を述べたことがあると教えてくれた。
それは2020年4月、同市の使用済み核燃料の新税制度を議論した臨時会議での発言だった。新税は、古い燃料ほど税率を高くすることで外への搬出を促すものだ(同年10月に導入)。市長の発言は非常に興味深い。会議録から引用する。
「当初、50%にしてくれというふうに言いました。ただ、物理的に不可能だという返事でございました。東京電力ホールディングス株式会社からの返事、国からの返事、つまりプールから取り出した核燃料を運ぶのに必要な設備、装置、国にも確認をしたんですが、難しいだろうと。今、93%、97%たまっているわけですから、それをいきなり50%までにというのは難しいだろうという回答でありました。そういった意味で、(中略)核燃料サイクルの現状と照らし合わせて出した最大限の数字が80%というところでご理解いただきたいと思います」
そうだったのか。柏崎市が東京電力や国と掛け合った結果、「おおむね80%以下に」という水準ができあがったのか。もし、桜井市長が最初に求めた「50%に」という要求を東京電力がのんだら、どうなっただろう[6]。
各原発の使用済み核燃料の貯蔵割合の表を以下に貼り付ける(2024年6月25日開催の原子力小委員会で配布された経産省資料から)が、貯蔵割合が「80%」超の原発がかなり多い。「50%以下」を、立地先の自治体から求められたら、大手電力の首脳の多くが真っ青になるだろう。「80%以下」だって、相当困る数字のはずだ[7]。
使用済み核燃料の貯蔵対策で最も切羽詰まっている状況なのは、皮肉にも原発の再稼働で先行する関西電力だろう。稼働している原発の貯蔵割合は2024年3月末時点で、美浜原発(福井県美浜町)が81%、高浜原発(福井県高浜町)が83%、大飯原発(福井県おおい町)89%だ。このままでは数年で満杯になる。
(4)「約束はほご。3基は直ちに止めて」
「昨年の約束もほごにされているわけであるから、次のロードマップを示すまで、それを福井県が納得するまで3基は直ちに止めて頂きたい。そこからでないと話は始まらない」
「約束ができなかったということなので、今すぐ3基を止めなくてはいけない、止めなければならない、止めていただきたい」
2024年9月9日、福井県議会の全員協議会。筆者が入手したこの時の会議記録によると、自民党の県議を含め、出席した議員の多くが、出席した関西電力副社長を、激しい口調で追及していた。「3基」とは、福井県内で稼働する運転開始から40年超の美浜原発3号機と高浜原発1、2号機を指す。経緯を調べると、そうした怒りのわけが理解できた。
福井県はかねて「発電は引き受けたが、使用済み核燃料の保管まで引き受けていない」との立場を取り、1990年代後半から関西電力に使用済み核燃料の県外搬出を要求した。そして2021年2月、関西電力は運転40年超となる3基の再稼働をめぐる議論の中で、2023年末までに中間貯蔵施設の県外候補地を確定できない場合、確定できるまで、これら3基の原発の運転をしないという覚悟を福井県に伝えている。
「原発を運転しない」とは、とても重たい「約束」だ。関西電力はホームページで、対外的にもその旨を表明している。[8]ところが、関西電力はこの重たい「約束」をきちんと果たせず、2023年10月、「使用済燃料対策ロードマップ」と名付けた工程表を福井県に提示したのだった。これでどうか許して、というのだろう。
ポイントは4つ。①六ヶ所再処理工場への搬出②使用済MOX燃料再処理実証研究に伴う仏オラノ社への搬出③中間貯蔵施設の2030年ごろの操業開始に向けた準備④中間貯蔵施設搬出までの保管のため乾式貯蔵施設(本リポートの下で詳述する)の設置検討、だ。同社発表資料を以下に貼っておく[9]。
この工程表提示から、わずか3日後。福井県の杉本達治知事は、「全体としては一定の前進があった」と理解を示し、3基の運転継続となった。この知事判断について、「『原発を止めない』という両者の方針一致が透ける」と報じたメディアもあった。
筆者も今回、改めて工程表をみてみると、かなり杜撰に思えた。整理してみる。
①について、日本原燃は2022年9月、六ヶ所再処理工場の26回目の完成延期を発表した。なぜ、関西電力は27回目の延期はない、と考えたのか。六ヶ所再処理工場に依存しすぎではないか。
②については、フランスへの搬出量200トンは関西電力が当時保管していた使用済み核燃料のわずか5%余だ。関西電力はこの策を2023年6月に先行して発表し[10]、「(福井県との)約束はひとまず果たされた」と一方的に宣言。さすがに主要メディアも「奇策」「詭弁」などと酷評した。
③の中間貯蔵施設は具体的な地名はなし。中国電力が2023年8月、山口県上関町の同社所有地で関西電力と共同開発すると発表していたが、中国電力幹部が2023年9月、島根県県議会で、むつ市の中間貯蔵施設を例に挙げて「十数年は多分かかる」と説明。関西電力の工程表にある中間貯蔵施設の「2030年頃に操業開始」に照らすと時間的に厳しいことが分かった。
④の乾式貯蔵施設の「乾式貯蔵施設」は、福井県がこれまで求めてきた「県外搬出」の約束と相いれない対策と言えた。
案の定というべきか、2024年8月、日本原燃の再処理工場の27回目の完成延期の発表を受け、つまり最大の柱がダメになったということで、関西電力は工程表を見直すと福井県側に伝えた。こうした事態に、県議会の全員協議会で「3基を止めろ」という声が噴出したのだが、関西電力は使用済み核燃料200トンのフランスへの搬出について「県外に搬出されるという意味で、中間貯蔵と同等の意義がある」といった説明で押し通した。それで、いまも3基の稼働が続いている。
関西電力は2024年度末までに改めて新しい工程表を示すという。どんな内容になるだろう。各方面に聞くと、中国電力の広報担当者の返答が、なにやら意味ありげだった。前記③の島根県議会での同社幹部の説明に関して、こう「釈明」したのだ。
「竣工までに一定程度の期間は必要になることについて、あくまで、むつ市の中間貯蔵施設の一事例を引き合いに発言したもので、これが上関に当てはまるというものではありません」 。深読みすると、中間貯蔵施設を「2030年頃に操業開始」させるため、上関での突貫工事もありうるとも読める。かつて青森県むつ市の中間貯蔵施設への関西電力の参画案が浮上したことがあったが、地元の強い反発で止まっていた。いま、関西電力は両にらみで悩んでいるのかもしれない。(下に続く)
[1] 例えば経済産業省(https://www.aec.go.jp/kaigi/senmon/tyoki_gijyutu/siryo03/3_haifu.pdfのP3)、日本原燃(https://www.nuro.or.jp/pdf/20161125_03.pdf のP6)。
[2] 第41回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(2024年10月16日)の「資料3」のP9。https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/041_03_00.pdf
[3] 六ヶ所再処理工場の「長期利用」により、第二再処理工場は消えたのか、というと、まだ決まってないようだ。本リポートの最初に貼り付けた経産省作成の「使用済燃料の搬出先の明確化」という説明資料の最下段の(※)の後に、小さな文字で「六ヶ所再処理工場に続く再処理施設については、六ヶ所再処理工場の稼働状況、原子力発電所の稼働状況とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済燃料の発生量等を総合的に勘案しつつ、引き続き検討する」との一文がある。経産省の担当課にも確認したが、「10月16日の原子力小委員会において、『六ヶ所再処理工場に続く再処理施設については(上記と同じ表現なので省略)引き続き検討する』との考え方を事務局からお示しし、ご議論をいただきました」との返答だった。
[4] 青森県むつ市の「リサイクル燃料貯蔵」に使用期間について確認したところ、「弊社は、使用済燃料を再処理するまでの間、一時的に貯蔵する施設であり、最初の金属キャスクが搬入されてから、50年後までに搬出することとしています。従いまして、50年を経ないで搬出される燃料が大半になります」との回答だった。筆者がさらに「20年、30年で搬出することもありえるのか」と尋ねたところ、「搬出については、20年でも30年でも制約はございません」ということだった。ただ、経産省が六ヶ所再処理工場の長期利用にわざわざ取り組むということは、40年~50年の中間貯蔵を意図しているのではと筆者はみている。と同時に、「50年を経ない」のなら「一時的」という解釈になるのかと驚く。
[5] 使用済燃料再処理・廃炉推進機構のホームページから。https://www.nuro.or.jp/pdf/20240621_3.pdf
[6] 桜井市長が求めた廃炉判断の期限の前倒しを東京電力が受け入れたため、桜井市長は2024年8月下旬、「(東電からの再稼働の)要請に応えられる段階に至った」と語り、容認姿勢を示した。
[7] 第39回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(2024年6月25日)の資料2のP16。https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/039_02_00.pdf
[8] 関西電力ホームページから。https://www.kepco.co.jp/ir/brief/disclosure/pdf/kaiji20210212_1.pdf
[9] 関西電力の2023年10月10日の発表資料。https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2023/pdf/20231010_1j.pdf
[10] 関西電力の2023年6月12日の発表資料。https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2023/pdf/20230612_1j.pdf なお、この関西電力の発表について、西村康稔経産相(当時)は記者会見で「関西電力が福井県にこれまでしてきた約束を実現する上で重要な意義があると考えております(中略)今回の対応は、使用済燃料の海外搬出という意味で中間貯蔵と同等の意義があります」などと評価した。https://www.meti.go.jp/speeches/kaiken/2023/20230613001.html