福島原発事故

  • 2020.05.27

原発事故の教訓と被災者へのいたわりとは ―福島に新設される「伝承館」について―

※サムネイル画像の出典:東日本大震災・原子力災害アーカイブ拠点施設資料映像【本編】   https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/portal/archive-video.html 福島県の災害アーカイブ施設 2020年3月に入ってから、不通区間であった常磐線の夜ノ森駅、大野駅、双葉駅の3駅と周辺の避難指示が順次解除され、14日に常磐線が全線再開した。双葉町には福 […]

  • 2020.03.12

映画『Fukushima 50』と『チェルノブイリ』

3月1日(土)に、パソコン上で5時間の大作『チェルノブイリ』を、3月9日(月)に映画館で『Fukushima 50』を見た。前者は1986年の事故から34年もの歳月が経過しており、後者は9年経過したのみという違いがある。また、それぞれの映画製作における国柄の違いもあるように思われるが、テイストがずいぶん違う。以下に率直な感想を記してみたい。 ***** 1.重点の相異 『チェルノブイリ』は、事故の […]

  • 2018.03.12

廃炉のための人材育成はいらない〔筒井哲郎〕

 廃炉作業の需要が今後徐々に増えてくる。原子力を推進してきた官民の団体は、廃炉のために「人材育成」が必要だと強調している。たとえば、原子力委員会が昨年7月にまとめた「原子力利用に関する基本的考え方」の「廃止措置及び放射性廃棄物への対応」という項目では、「廃止措置は長期にわたることから、技術及びノウハウの円滑な継承や人材の育成も同時に進めることも重要である」としている※1。  筆者には、原発の廃炉に […]

  • 2017.02.28

甲状腺がん子ども基金、検査の拡充訴え 福島県外でも重症の子ども〔満田夏花〕

 福島県外でも甲状腺がんが重症化している子どもたちの存在が指摘されている。  「3・11甲状腺がん子ども基金」(代表:崎山比早子氏、原子力市民委員会アドバイザー)は、2016年12月から、東日本の15の都県※1における25歳以下の甲状腺がんの患者たちへの療養費給付事業を始めた。今年1月までに発表された給付対象は、福島県および近隣県・関東の患者53人(うち福島県内が41人、福島県外が12人)。福島県 […]

  • 2016.10.28

廃炉ロードマップは絵に描いた餅〔筒井哲郎〕

 現在、福島第一事故サイトの後始末作業は、政府・東京電力が2013年6月27日に策定した「中長期ロードマップ」※1を基本に、毎年少しずつアップデートしながら進めている。全体としての「廃止措置終了までの期間」を30~40年後と表示しており、これが公式の終了期間として、地元自治体の復興計画やそのほかのすべての政策の基本をなしている。  このロードマップは、たくさんの開発項目を前提にして、「それらの開発 […]

  • 2016.06.29

幻想のデブリ取り出し〔筒井哲郎〕

はじめに  去る5月29日(日)に、NHK総合テレビでNHKスペシャル「廃炉への道2016 核燃料デブリ 迫られる決断」が放映された。  「迫られる決断」とは、政府および東京電力が決めた「中長期ロードマップ」に従うと、「デブリ取り出し方法を2017年までに決めることを迫られている」という意味に過ぎない。つまり、当事者たちが困難な計画を立てて、それに合わせるように頑張っているシーンを宣伝するかのよう […]

  • 2016.06.03

焼却による減容化の安全性 〔原子力市民委員会〕

 原発事故で汚染された稲わらや下水の汚泥などを燃やす仮設焼却施設が、福島県内の各地で稼働しています※1。1月には飯館村蕨平で1日240トン処理できる施設が稼働(故障で4月から停止中)したほか、田村市と川内村にまたがる施設や、楢葉町などでも計画が進んでいます。一方、二本松市に環境省が計画している施設は地元の強い反対で宙に浮いたままです。焼却の安全性は実証されていないので、燃やして廃棄物の容積を減らす […]

  • 2016.04.07

指定廃棄物のダブルスタンダード〔原子力市民委員会〕

 東京電力福島第一原発事故で放出された放射性物質は、広い範囲で自然環境や住民の生活環境を汚染しました。その後始末で政府の不条理な施策が続いています。問題の一つは「指定廃棄物」を巡るものです。  稲わらやごみの焼却灰、上下水道施設の汚泥などで8000ベクレル/kgを超えて汚染されているものは「指定廃棄物」とされ、昨年末時点で12都県で計約17万トンが保管されています。指定廃棄物に関わる制度には、わか […]

  • 2015.09.24

ここが問題、指定廃棄物の処分場計画 〔原子力市民委員会〕

 東京電力福島第一原発事故で発生した「指定廃棄物」(表①)の処分場建設を巡り、各地で住民の反発が強まっている。候補地にされた栃木県塩谷町(しおやまち)で8月29日、町民ら約2700人が反対集会を開き、白紙撤回を求める決議を採択した。宮城県加美町(かみまち)では8月28日と31日の二度にわたって、同じく指定廃棄物の処分場建設のため調査に訪れた環境省の職員らを住民が道路をふさいで追い返した。両町の町長 […]

  • 2015.08.18

住民の声を無視した避難指示解除の押しつけ 〔原子力市民委員会〕

 政府の原子力災害対策本部は8月7日、東京電力福島第一原発事故で福島県楢葉町全域に出していた避難指示を、9月5日午前0時に解除することを決めた。楢葉町は約2700世帯で人口約7400人。全町が避難対象となった自治体の解除は初めてとなる。  避難生活に伴う東電からの慰謝料は、避難指示の解除から一定期間後に打ち切られる。このため解除は実質的には帰還を強いる兵糧攻めとなる。これまで解除された地域と同様に […]